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福島家庭裁判所喜多方出張所 昭和51年(家)398号 審判

申立人 沼田清子(仮名)

相手方 上田タカ子(仮名) 外一名

主文

別紙目録(略)記載の不動産を競売に付しその競売売得金を申立人及び相手方上田タカ子に各二分の一宛分配する。

理由

申立人は本件遺産につき分割を求める旨申立て、その実情として述べるところは、被相続人は昭和四六年八月三日死亡したが、相続人は申立人及び相手方両名である。遺産としては別紙目録(略)記載の不動産だけであるが、その分割につき相続人間に協議が調わないので本件申立に及んだというにある。

よつて審案するに、一件記録によれば、被相続人片岡ツネは昭和四六年八月三日最後の住所地で死亡したこと、相手方上田タカ子は被相続人の長女、申立人は被相続人の養女であり、相手方加藤孝夫は被相続人の女トク(昭和二一年九月四日死亡)の長男であること、被相続人の遺産は別紙目録(略)記載の不動産だけであること、相手方加藤孝夫は相続分放棄の意思表示をしていることが認められる。

そうすると申立人及び相手方上田タカ子は二分の一宛の相続分を有するわけであるが、右両名がいずれも本件不動産所在地を離れて生活しており、現物の所有について特別の経済的ないしは感情的な利害関係を有することが認められない本件にあつては、現物の分割その他の方法によるよりは、これが競売を命じ、その売得金を申立人及び相手方上田タカ子に各二分の一宛を分配するのが相当であると認められる。

よつて主文のとおり審判する。

(家事審判官 村上守次)

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